玉虫 - Jewel beetle

スズメバチのような威圧的な羽音が、背後から突然近付いてきた。
空気を圧する猛々しい羽音は、避ける間もなく僕の頭上を右から左へと抜け、道端の木に向かった。
しかし、視界に映ったのは例の警戒色ではなく、奇妙な輝き。
羽音が消えた辺りの葉に近付いてみる。
コガネムシのそれよりもずっと艶やかな、メタリックな深い緑。
玉虫だ。
以前に一度だけ、チラッと見たことがある。
でも、間近で観察するのは初めて。
全く予期しなかった遭遇が、新鮮な驚きで思考を飽和状態にする。
次の一秒に何が起きるか?
次の一瞬で、事態がどう変化するか?
新鮮な出会いや、心躍る出来事が起きるかも知れないし、何も変化は起きないかも知れない。
でも、これから踏みしめる一瞬は、誰にも踏み荒らされていない、誰かに決められることもない、まっさらな一秒。
そう思う人には、そうなんだと思うよ。
きっとね。 :)








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